
ことば
「鐸 声」 | ||
浄土宗新聞 令和7年10月号より転記 | ||
◆実りの秋を迎え新米の便りが各地から届く。湯気立つご飯をほおばりたいが、今年の米価も高騰が続く見通しだ。古米や古古米を手にする人も少なくない。食卓に上る米一粒の重みを思わされる。 ◆NHK大河ドラマ『べらぼう』では天明の飢饉の江戸が描かれる。冷害など自然の猛威に加え、幕府や諸藩の政治のまずさもあり、米屋打ちこわしが相次いだ。やがて明治から大正にかけて人口が爆発的に膨らむと、飢えの記憶は怒りへと変わり米騒動へ。不満は社会を揺さぶり、ついには侵略戦争へと進んでしまった。 ◆昭和期に活躍し、京都・清涼寺の住職を務めた浄土宗の名僧・塚本善隆師。信仰の原点は祖母から教わった仏飯にあるという。毎朝、炊き立てのご飯を仏さまに供え「帰命無量寿如来」ととなえて合掌する。仏教で一番大事なのは殺生をしないこと。お百姓さんが1年かけて育てた一粒には、尊い命が宿るからである。 ◆不満ではなく、今あるものに感謝し、仏さまに手を合わせて念仏をとなえる。その心こそ、平和への確かな一歩となるのではないか。 |
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