
ことば
「鐸 声」 | ||
浄土宗新聞 令和7年8月号より転記 | ||
◆日本車の中国山西省残留問題を通して、戦争の不条理をあぶり出した『蟻の兵隊』※というドキュメンタリー映画がある。 ◆主人公の奥村和一さんら日本兵は、終戦後、上官の命令で国民党軍と合流して、共産党軍と戦うことを余儀なくされた。2600人の残留兵は4年間にわたって戦い、550人が戦死した。その後、奥村さんらは捕虜となり、帰国は1954年になってからだ。軍命によって国のために残留した彼らを、国は志願の残留と見なして軍人恩給の支給を拒否し、その忠誠心に報いることはなかった。 ◆中国の口ケで、ある村はずれを訪れた奥村さんは、そこが、肝試しと称し銃剣で罪のない中国人に対して刺殺訓練を行った殺人現場だと告白する。静かに語られる戦争の狂気が、観る者を圧倒する。 ◆国家の命により、普通の人が普通の人を殺戮する修羅の惨劇は、今も世界各地で繰り返されている。戦争のリアルを知ること、それは平和への第一歩である。戦後80年の節目を迎える今夏、先の戦争から私たちが学ぶべきは何かを、改めて問いたい。 ※池谷薫監督作品。2006年公開。今年も長野、上田、東京、新潟、京都などで上映される |
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